2021年シーズン Jリーグ 第20節 川崎フロンターレーベガルタ仙台 感想

等々力陸上競技場で行われた川崎フロンターレベガルタ仙台の試合は、2-2で引き分け。ホームでのベガルタ仙台戦の引き分けは2016年以来5年振りとなりました。

 

ベガルタ仙台ペナルティボックス幅にコンパクトに並んだ4-4-2の布陣で、中央のスペースを消し、大外のスペースに誘導して、外からのクロスやパスを中央で枚数をかけて跳ね返す守り方を採用してきました。他の対戦相手と違った点は、徹底して「動かない」事。これは意外と難しい。パスや動き出しで相手の動きを見ると、どうしてもそれに合わせて動いてしまう。これを試合を通して維持したのは率直に凄いと思いました。

 

前節からアウェイ連戦の中2日に加え相手は首位川崎フロンターレ。2日後の昼には、ホームでアビスパ福岡戦がある。引き分けで勝ち点1が取れれば大満足、負けでも0-1や0-2と得失点でのダメージを最小限に抑えた形でも十分な事もあり、徹底して「動かない」戦い方を貫き通せたのでは。狙って簡単に出来る事ではありません。

 

とは言え、開始直後に先手を取り。川崎フロンターレは有利に試合を進められる立場でした。べガルダ仙台が動かない守備に徹し、攻撃は川崎フロンターレが攻撃時に空けた背後のスペースにロングボールを入れる事に集中していた事を考えると、試合をゆっくり進めた戦い方は悪くありません。川崎フロンターレも、名古屋グランパスとの首位攻防の2連戦、アウェイでガンバ大阪と負荷の高い連戦を戦った影響で疲労が蓄積された状態だったので、無理に試合のテンポを上げる必要はありませんでした。

 

無理をしなくても勝ち点3を取れる展開でありながら、試合終盤のミスから失点し引き分けで終わりましたが、試合をクローズするのが、本当に下手です。鬼木監督が1試合3点のノルマを掲げているが、3点取らないと勝てないチームなのかもしれません。それでは複数をタイトルを獲得する事など、夢のまた夢なので、具体的な状況とその際の優先事項、対応を明確して、「判断」のミスを無くしたい。口を酸っぱくして監督、コーチ、選手間で言い続ける事で共有して欲しいですね。

 

率直に言って、勝てた試合であり、当方が一番嫌いな「判断」のミスで勝ち点を落とした試合でもあるので、普段であれば相当頭にきた試合ですが、意外な程、淡々としていて、あっ引き分けちゃったねくらいにしか今回は思っていません。

 

というのも、前述の通り、過密日程で負荷の高い試合を戦っていると、ふと意識していても気が抜ける時があります。どんな強いチームでも、年間2~3試合はそんな状況で勝ち点を落とす事は当たり前あり、単純にその時がこの試合に来てしまっただけだと思っています。選手は人間である以上、いつ誰が出ても同じサッカーなんてあり得ない。そう考えると、負けずに勝ち点1を取れただけでも成長しています。

 

疲労している選手を起用した鬼木監督の判断ミスという声もありますが、選手の疲労、怪我のリスクなんて首脳陣が知らないはずは無い。疲労している選手をスタメンで起用した方が良いと思わせている出場機会が少ない選手の方が問題です。練習でアピールできていない、評価を覆すだけのプレーを練習で見せられていないという事です。この試合途中出場した遠野や塚川のプレーを見れば、少なくともスタメンの選考については首脳陣のミスでは無いと思えます。

 

数年前とは状況が違い、お試し起用なんて行えば、選手間の「秩序」が乱れます。期待のあの選手やその選手が、ベンチにも入れないという事は、それなりの理由があるという事です。今の川崎フロンターレはそれだけ競争が激しく、首脳陣もベンチに入れる選手まで相当気を使って選んでいます。一人ベンチに入れる選手を間違えるだけでもとんでもない事になる。かって東京ヴェルディを率いた李国秀氏の言葉を思い出しました。

 

次節はホームで北海道コンサドーレ札幌戦。昨シーズンホームで苦汁を舐めた相手であり、今回は札幌が中6日、川崎が中3日とコンディション面で不利な状況での戦いとなります。ベガルタ仙台戦の内容を踏まえてどんな対応をするのかが楽しみです。

 

余談

 

2017年に北海道コンサドーレ札幌がJ1に昇格後、8試合10ゴールと大好物にしている選手がいます。それは。

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ベガルタ仙台戦でもゴールを奪いましたが、あの程度じゃ序列はひっくり返せない。しかもチームを勝たせていない。チームが苦しい時、ゴールを奪って、チームを勝たせる。中村憲剛無き今、それを期待されているのはあなたです。点を取らないと居場所がなくなるぞとあえて辛辣な事を書きます。チームが上手く行っていない時こそ、序列をひっくり返すチャンスです。期待していますよ。