川崎フロンターレの現場監督

 

等々力で今シーズンの彼のプレーを見ていると、これまで以上に「声」で味方を動かす事が上手くなった。左サイドバックのポジションから、前線と中盤を巧みにコントロールしている。相手をよく見て戦えているからこそできるプレー。風間前監督が評していた「戦闘能力」の高い選手である事を示している。

 

ゲームキャプテンは谷口だが、試合の作る「現場監督」は登里だと思う。かっては中村憲剛が担っていた役割を違和感なく行っているところに凄さを感じる。左サイドを起点に相手の隙間に入り込み、時にボールを引き出し、時に決定機の種となるパスを出し、時にサイドから正確なクロスでゴールを演出する。

 

先日の北海道コンサドーレ札幌戦。大半の選手は及第点以下のプレーで、コロナ禍で無ければ、ブーイングの一つでも浴びせたくなる不甲斐ない出来だったが、登里は別だった。彼が投入されてから、それまでの窮屈なプレーから解放され「いつもの」川崎フロンターレに戻った。試合後の彼のコメントを見ても、ベンチから正確に問題点を捕らえピッチ内で実践し問題を解決している。

 

川崎フロンターレに高卒で入団してから、2012年頃までは、スピードとキレを生かしたサイドからのドリブルが得意なドリブラーの王道の様な選手だっただけに、現在の知的なスタイルは全く想像できなかった。風間前監督就任後、2013年シーズンにレギュラーを獲得した辺りから、現在のプレースタイルの片鱗が見えてきた。決定的に変わったのが、2015年の長期離脱後。離脱中に欧州の同じポジションの選手の映像を見ながら、新たなプレースタイルを築き上げたと語っている。

 

個人的に、長期離脱中に彼がどの様な思考で、どの様な取り組みを行っていたのかがとても興味がある。この点を誰か掘り下げて彼から言葉を引き出してもらいたい。これを言語化、メソッドにできないものだろうか?それが出来れば川崎フロンターレに取って大きな財産となる。

 

2020年シーズン、このまま勝利を積み重ねてJリーグ制覇を達成するとしたら、何としても彼がベストイレブンに選ばれて欲しいと願っている。日本代表でプレーしても何ら不思議ではないが、代表チームは時の流れや監督の趣向に左右される。森保一監督の間は登里が代表に呼ばれる可能性は低いと思う。だからこそ、Jリーグの選手として得る事ができる最高級の栄誉であるベストイレブンに選ばれて欲しい。

 

これからの彼のキャリアで見てみたい事が二つある。一つは川崎フロンターレでキャプテンマークを巻いてプレーする姿。もう一つはボランチのポジションでプレーする事。意外と中村憲剛の様なプレーをするのではないかと勝手に思っている。

 

今日三十路を迎え、ベテランと呼ばれる年齢となったからこそ、もう一度言いたい。彼ほど知的な選手はJリーグにいません。そして可能な限り長く川崎フロンターレでプレーして欲しい。明日も期待しています。

 

余談

あまり持ち上げ過ぎても面白くないですね。左サイドからカットインしてゴールを決めるのは何時になるのだろうか?。決定機の半分でも決めていれば2~3ゴールは決めていると思う。ベストイレブンの為にも1ゴールくらいは決めて欲しい。何となく、キャリア2度目となるヘディングでの得点になると思っている。

 

因みに、プロ入り唯一のヘディングでのゴールを決めた際の実着用ユニフォームがこれ。詳細はまた別の機会に。

 

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このシーズンはMサイズ着てました。