2021年シーズン Jリーグ 第32節 鹿島アントラーズー川崎フロンターレ 感想

県立カシマサッカースタジアムで行われた鹿島アントラーズ-川崎フロンターレの試合は、2-1で川崎フロンターレが勝利。6月から始まったアウェイ連戦の最後の試合、アディショナルタイムの劇的な一撃で勝ち点3を勝ち取り終える事できました。

 

セットプレーで追いつき、アディショナルタイムで逆転。往年の鹿島アントラーズが見せた勝負強さを逆に示した試合でした。思い出せば、2016年や2019年のアウェイでの鹿島戦も試合の主導権は握られても、最終的に勝ち点3を取っているのは川崎フロンターレでした。当時はらしくないサッカーで勝ち点が取れて不思議な勝ちだと思いましたが、この試合は先手を取られ、ボールを前に運べない時間帯が続いても、選手もベンチの首脳陣も手を変え品を変え対応した結果、逆転に結び付けた。同じようで違う試合に見えました。

 

勝負を分けたのは、鹿島アントラーズが先制した後の戦い方です。鹿島アントラーズの運動力が落ちてきた事もあり、ボールが互いの陣内を早く行ったり来たりを繰り返すオープンな展開になり、これまでの鹿島アントラーズならば、この様な展開になりそうだと察すればボールを動かすテンポを落とし、相手がボールを持つ時間を短くする、必要であれば相手にボールを持たせて、自陣のスペースを人数をかけて埋め、時計の針を進める試合の進め方が上手いチームだったが、この試合ではその動きが見られませんでした。

 

この様な局面で力を発揮するような選手がベンチに不在だったので、試合をクローズする手段が取れなかったのかもしれません。川崎フロンターレからすると、同点以降は目に見えて相手の運動量が落ち、ボールを奪っても、ピトゥカが強引にドリブルで持ち運ぶか、蹴り込んだところを山村が回収、彼を起点に旗手や脇坂に素早くボールを運ばれて押し込む場面が増えました。決勝点となった宮城のゴールシーンも不自然なくらいフリーな状態でのシュートでした。明らかに足が止まっていたピトゥカに変え、レオシルバが投入されると見ていましたが、ベンチとしては逆転の為、ピトゥカをピッチに残すと決断したのかもしれません。

 

川崎フロンターレも我慢強く戦いましたが、鹿島アントラーズの終盤の戦い方に救われた面もあります。小笠原満男が引退してからは、試合をコントロールする、試合を進める基準を示す選手がいない。近年鹿島が安定して上位にいながらタイトルに届かないのは、そんなところがあるのではと思わされました。もっともリードしてからの戦い方は川崎フロンターレも課題としています。今シーズン、リーグ戦2試合でアディショナルタイムに失点し勝ち点4を逃し、カップ戦でも同じような事をしてルヴァンカップを敗退したクラブが言える事は特にありません。

 

次節はホームで湘南ベルマーレ戦。ついにホームの等々力陸上競技場で試合が出来ます。思いを伝える手段は限られますが、まずは出来る限りの方法で過酷な連戦を戦い戻ってきた選手達を称えたい。そして次の勝ち点3への後押しがしたい。コンディション面では、不利な戦いが続き、隔離期間もまだ少し残っていますが、ホームゲームの応援が少しでも後押しになればと思います。

 

余談

 

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この試合の個人的なMOMは山村和也様です。途中出場直後に涼しい顔をして同点のヘディングを叩き込み、センターハーフのポジションに入ってからは、相手の攻撃を摘み取り、前線に正確なボールを供給し続けました。多分今季で契約が切れると思うので、速く複数年契約を結びましょう。難しいプレーをいとも簡単にスマートにやってのけてしまう凄い選手だと思っています。