2021年シーズン Jリーグ 第38節 横浜Fマリノスー川崎フロンターレ 感想

日産スタジアムで行われた横浜Fマリノス川崎フロンターレの試合は1-1の引き分けとなりました。両チームともに最後まで強度の高いプレーの攻守を展開し、スコア以上に娯楽性と内容を備えた質の高い試合でした。得点王争いを繰り広げていたレアンドロダミアンと前田大然も共にゴールを決め、得点王の座を分け合いました。

 

前半は、車屋が負傷退場し、プレーの強度は高いがスピードに欠ける山村が入った事で、ディフェンスラインを下げセットした守備を強いられ、横浜Fマリノスに主導権を握られる時間が続きました。相手の裏のスペースを狙った動きに対して、ディフェンスラインを押し上げられず苦しい時間が続きましたが、押し込まれた場面では山村の跳ね返す強さが生きて失点を防ぎました。ここで失点していれば、同点にする為に無理にでも前に出ないといけない展開となり、前傾姿勢になって生じた裏のスペースを突かれ大量失点の可能性もあったので、主導権を握られた時間帯を無失点で終えた事が大きかったです。

 

後半開始から、ディフェンスの局面で上手く参加できていなかったマルシーニョを下げ、大島を投入。マルシーニョの位置には旗手を動かした形に変えました。10月の復帰以降、体の調子と試合感覚が戻っていない事からプレーに精彩を欠いていた大島でしたが、この試合では久しぶりにいつもの凄い大島僚太でした。相手の激しいプレッシングを彼のところで回避できるようになり、ボールを落ちつかせるポイントが出来た事で、徐々に相手を押し込む形を作れるようになりました。やっと川崎フロンターレのサポーターが知っている大島僚太が戻ってきた感があります。天皇杯でもこのパフォーマンスに期待しています。

 

試合終盤はお互いに攻撃力の高い選手を全てピッチに投入し、ボールが激しく動くオープンな展開となりました。激しい攻防となり、正直、3-3くらいのスコアになってもおかしくない展開でしたが1-1で終わったところに両チームの自力が見えます。最後まで勝ち点3に拘ったからこその見応えのある展開になりました。

 

リーグ戦は終わりましたが、まだ天皇杯が残っています。次は等々力陸上競技場大分トリニータとの対戦です。J2降格となった大分ですが、10月以降は安定した戦績を残し、敗戦は2つと好調を維持しています。簡単な相手ではありません。決勝の国立競技場に進む為に厳しい戦いとなりそうです。今シーズン最後の等々力での試合を楽しみにしております。

 

最後に、この試合を素晴らしいジャッジで共に作り上げてくれた家本政明主審に感謝。個人的に川崎フロンターレ-横浜Fマリノスの強度の高い試合を円滑にジャッジしてくれるのは、彼しかいないと思っているので来年から少し不安でもあります。この試合を最後に審判としてのキャリアは卒業されますが、多才な方なので、次にどの様な道に進まれるのか非常に興味を持っています。次のステージも素晴らしい物になる事を願っています。お疲れ様でした。