2021年シーズン 天皇杯 2回戦 川崎フロンターレー長野パルセイロ 感想

等々力陸上競技場で行われた川崎フロンターレ-長野パルセイロ戦は、1-1の同点、延長戦でも決着がつかず、PK戦(4-3)の末、川崎フロンターレが勝利。3回戦に歩みを進めました。9月まで、等々力で試合が無いので、等々力の神様からの「しばらく試合無いんだからもう少しゆっくりしていきなよ~」という誘いに乗った結果、ここまで引き留められるとは思いませんでした。

 

この試合の問題点は、試合後のコメントで家長が簡潔、正確に言葉で表現してくれました。

 

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「相手がハードワークして頑張ってきて、一緒になって頑張ってしまった感じがする。相手を見てどこに止める、どこに出すといった状況判断をしていかないと。もっと選択肢を持ってプレーしなければいけないと思った。シーズン後半戦も勝ち続けていくためには、個人の質、試合の流れを読む力をつけていかないと。」

※ オフィシャルサイト、試合後コメントより引用。

 

特に攻撃の仕上げの局面ですが、長野パルセイロの強度に合わせるあまり、「早く、強く」攻撃する事に意識がいってしまい最後の局面で精度を落としているように見えました。相手を見て、相手を動かして消耗させて仕留めるくらいの強かな戦い方が出来れば良かったのですが、まだそこまでの戦い方の引き出しは無さそうです。アンカーのシミッチにマンマークを付けられた時、両脇のスペースを狙われボールを運べない場面の対応など、ACLを前に課題が再度炙り出されて負けなかったのは良かったのかもしれないです。個人的には、もっとCB2枚が運べるところまでドリブルで運ぶ動きが増えればなと思いますが。

 

選手個人について言及すると、MOMは橘田。後半頭から投入されると、インサイドハーフボランチの一角でボールを引き出す動きと長短のパスでボールを進め、試合のリズムを作ると、試合途中からは、プロになってからは初の右SBでのポジションでプレー。91分にはハーフスペースからぺナルディボックスに侵入し、同点となるシュートを決めてくれました。3つのポジションで確かな質を示し、彼の序列は大きく上がったと思います。

 

川崎フロンターレでは初の公式戦出場となった宮城も良いプレーをみせてくれました。後半85分から出場すると、左サイドから積極的なドリブルでサイドを突破し、チャンスを作り、ペナルティボックスにカットインしてフィニッシュワークにも絡む活躍でした。出場前に小林から、ボールを持ったら全部仕掛けるよう言われていたそうですが、最近の川崎フロンターレではあまり見れなかった図々しさも見せた自分の強みを前面に出したプレーでした。何となくですが、三好康児が2016年頃見せていたプレーを思い出しました。ここ2~3年はこの様なプレーをする選手がいなかったので、久々に良い物を見れました。ACLでも期待しています。

 

イサカゼインや小塚、塚川もそうなのですが、失敗してもいいので、自分はこれが得意だとプレーで示してほしかったで。この試合で見せたプレーは良くなかったですが、まだチームの約束事を意識して、それが出せないのかもしれません。風間前監督の言葉を借りれば「個人とチームの利益を一致させる」ことの試行錯誤が続いています。今はチームに合わせる事に意識が傾いていると思いますが、少し「自分な得意なプレー」をアピールできれば、また変わってきます。彼らが力を発揮してくれないと、ここからの戦いが非常に苦しくなるので、次に出場時には変わった姿を見せて欲しいですね。

 

一人だけ厳しい事を言いたいのが脇坂。今日のような、相手の圧力、マークに負けて上手くいかない場面こそ存在感を示し、局面を打開するプレーを求められるのですが、相手のマークに隠れてしまい、全く存在感を出せずに終わりました。先に名前を出した選手達とは、彼は別のフェーズにいます。以前も同じ事を書きましたが、今日のプレーだったら、大島が帰ってきたらベンチ外です。ベンチ外の選手に14番は渡せません。

 

次節はついに始まるACL、対戦相手は大邱FC(韓国)です。グループリーグ突破に向けて初戦の勝ち点3は必須です。日本から試合の視聴が出来るのか、未だに不安が残りますが、何とか視聴可能な状況にして頂きたい。メディアの皆様、宜しくお願いします。