2021年シーズン Jリーグ 第10節 川崎フロンターレーサンフレッチェ広島 感想

等々力陸上競技場で行われた川崎フロンターレサンフレッチェ広島の試合は、1-1で引き分け。ホームゲームでの引き分けは、2020年2月の開幕戦で対戦したサガン鳥栖戦以来です。等々力で久しぶりのドロー決着となりました。

 

前半は川崎フロンターレのシュートが14本、サンフレッチェ広島のシュート本数が0本。一方的な試合展開でした。サンフレッチェ広島は4-4-2の布陣で、前線からボールを奪いに来たが、三列目(センターハーフの2人)と最終ラインの連携が噛み合わず、最終ライン前のスペースががら空きになり、川崎フロンターレは、ここから多くチャンスを作る事ができました。インサイドハーフの脇坂は前半だけで4本シュートを打ちましたが、サンフレッチェ広島の3列目の選手の守備が機能していなかった事が大きかったと思います。

 

先制点の場面も、センターハーフ2枚の帰陣が遅かった事が失点の要因でした。CBの荒木や今津が粘り強く守ったので、1失点で済みましたが、川崎フロンターレ側からすれば、これだけ中央ががら空きならと選手が中央に密集してしまい。自分たちで攻撃する場所を消してしまう場面もあり、ここで複数得点を決められなかったのは痛かったです。そのツケを後半払う事になりました。

 

後半に入ると、サンフレッチェ広島は、布陣を4-4-1-1に変更。前線を縦関係にして、後ろのスペースを埋める守り方に変え、攻撃に関しては、ボールを奪ったら徹底してサイドバックの裏側に放り込み、ジュニオールサントスの個人能力にかける攻め方、前節のアビスパ福岡の様な形に変えてきました。

 

先日のFC東京戦と同様、前半に攻め続けて体力を消耗した事に加え、連戦の最終戦という事もあり、川崎フロンターレ側の動きが極端に鈍くなりました(特にVARでゴールが認められなかった場面から)。動きが鈍くなったら、無理に前半と同じような形で攻めず、ボールを保持して相手に攻撃の機会を与えないやり方もありましたが、この試合ではその選択はしませんでした。

 

失点シーンはサンフレッチェ広島が狙っていた通りの形でした。川崎フロンターレの前線に選手を多く配置し、ボールを失っても即時奪回の戦い方を考慮すると、CBの二人は責められません。リスクとリターンを割合を考えれば、Jリーグでは圧倒的にリターンである事が多いからです。

 

川崎フロンターレの交代で出場した選手で注目だったのが、移籍後初出場となった小塚。ボールの無いところの動きの質や強度を見ると、ここまで起用されなかった理由が良く分かりました。半面、オンザボールの場面では正確なサイドチェンジや意表を突いたパス等、彼の強みであるプレーも見せてくれました。パスで試合を動かせる現在のスタメン、ベンチメンバーには無い強みがある選手なので、当面は得点が欲しい場面の切り札として、15~20分前後の途中出場が続くのではないかと思います。

 

小塚も含め、この試合の様にチームが上手くいっていない状況で結果を残さないと、序列をひっくり返すのは難しいです。今日の様な序列を覆せる様なチャンスはそう何度も訪れません。現在負傷離脱している、大島、旗手、シミッチが復帰すれば、この試合で途中出場した選手の内、3人はベンチ外となります。その意味で、小林、知念、塚川、長谷川、彼らにとっては、強い爪痕を残せなかったという事実は、引き分けという結果以上に痛かったしょう。

 

前半のサンフレッチェ広島の守備や試合運びのまずさを考えれば、勝ち点2を落とした試合でしたが、負傷者や過密日程に加え、名古屋グランパスサガン鳥栖に破れ、勝ち点差が1広まった事を考えれば、ベストではないが、ベターな結果でした。

 

次節はアウェイで2位名古屋グランパスとの対戦です。まだ4月ですが、早くもリーグの覇権を占う試合となるでしょう。中10日空きますが、最高の準備をしてこの一戦に備えて欲しいですね。

 

余談

 

① 名古屋グランパスサガン鳥栖戦で露呈したのは、ボールを持たされる、2列目の選手がプレーする場所を塞いでしまえば、高さのある選手を入れたパワープレーか一か八かのミドルシュート等に攻撃手段が限られてくる事。それを考えると、先月の浦和レッズ戦の様に、トランジションの局面で強みを発揮できる選手を並べて、相手にボールを「押し付けて」とトランジションの局面で殴る、我慢比べに持ち込んで、後半相手が焦れてきたところで、三笘と家長を投入して一気に畳みかける戦い方の方が良いかもしれません。

 

② シミッチ不在で一番痛かったのは、田中をアンカーのポジションで使わざると得なかった事。彼のボールを奪う力、ボールをゴールに向かって運ぶ力は、トランジションの局面で優位に立つ上で不可欠。田中の力を最大限発揮させる為にも、シミッチが軽傷で名古屋戦に元気にプレー出来る事を願っています。